連邦議会で制定できる法律は限られる!― Commerce clauseとは何?

 アメリカも日本と同じく国家権力が立法、行政、司法の三権に別れており(separation of powers)、checks and balancesによって濫用を防いでいます。ただ、アメリカは連邦政府の権力が三権に分かれているだけでなく、州と連邦という力の分配があります。各州は、各州内の事項については原則として各州が法律で規制を行い、連邦政府の議会は、複数の州にまたがるような事項についてのみ法律を制定することが認められています。日本でも都道府県が条例などを制定していますが、これは、アメリカの各州が法律を制定するのとは全く異なります。アメリカでは、連邦政府の議会が制定できる法律は、複数の州にまたがるような事項、例えば、州を跨ぐ鉄道や高速道路や航空についてであって、その他の事項を規定する法律を制定するのは原則として各州になります。ある意味、アメリカには50の国のような州があって、憲法で与えられた一部の事項について連邦政府で法律を制定したり規制することが認められていると言えるでしょう。この憲法で連邦議会に与えられた権限がCommerce clauseです。連邦議会による法律の制定がCommerce clause に反しているので憲法違反であると争われることもあります。ニューディール政策以降は、Commerce clause の範囲が広く解釈されるようになりましたが、1995年の最高裁判例で、スクールゾーンでの銃禁止区域を定めた連邦法について、Commerce clauseの範囲を超えているので憲法に違反すると判断されました。

ある意味、アメリカは三権分立以外にも各州と連邦政府というもう一つの権力分立のシステムによっても権力の集中を避け、その濫用を防止していると言ってもよいかもしれません。

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