アメリカで法律はどうやって成立するのか?
アメリカでは法律はどうやって成立するのかというのを非常に簡単に説明すると、上院と下院で、同じ内容の法案を可決して大統領が署名することで法律が成立するのですが、ここでは、もう少し詳しく一般的な手続きの流れを説明させていただきたいと思います。
まず、法律制定手続きが開始されるためには、下院でも上院でも、法案が議員によって各院にintroduce
(提案)される必要があります。共和党の議員と民主党の議員がco-sponsorとなって、法案をintroduceし、超党派の法案であることを強調することも多いです。Introduceした議員の名前が法律の名前として呼ばれることもあります。例えば、日本でも日本版バイドール法と言われるBayh-Dole法は、民主党のBirch
Bayh議員と、共和党のBob
Dole議員がco-sponsorとなって提案された法律で、両議院の苗字をとって、Bayh-Dole法と言われています。
一般的に、法案がintroduceされると、下院ではSpeaker(議長)が、その法案の内容を管轄する委員会(committee)に付託(refer)します。各委員会の議長(chair)は多数党所属議員で、Ranking
memberは少数党所属議員となります。この委員会のChairは、何を審議するか、また審議の優先順位を決める権限があります。introduceされた法案をそのまま放置することも可能です。上院でも同じように委員会(committee)に付託(refer)されることが一般的ですが、一定の条件のもと直接上院のカレンダーに予定を入ることも可能です。
委員会が当該法案を取り上げると決定した場合は、公聴会(Hearing)が開かれることが一般的です。当該事項に関する専門家やその法案によって影響を受ける利害関係者等に質問をすることになります。
次は、公聴会によって得た情報をもとに、法案に修正を加えることになります。委員会が、公聴会と法案修正を小委員会に任せることも一般的に行われます。
その後に、下院では、委員会が下院に報告をして、下院のカレンダーに予定を入れます。カレンダーに予定が入ったからといって、下院でその法案が審議されるとは限りません。特に下院では議長の影響力が強く、何についてどのような順番で審議するかを左右することが可能です。上院では多数党のリーダーに下院議長のような権限はありません。上院での審議開始の方法の一つとしては、「Motion
to proceed」提出に対して、60票の賛成がある場合です。Unanimous
Consent Agreements(全会一致同意)によっても審議が開始されます。
本会議の審議の審議手続きや修正について上院と下院とで違いがありますが、一番大きな違いとしてあげられるのが、上院の通常の手続きでは討論を終了して投票に進むには、討論終結動議(cloture)を5分の3以上の投票、つまり60票以上で可決する必要があるという点です。
上院と下院の本会議での審議に関する手続きや規則については別途ご説明しようと思います。
上院で可決された法案の内容と下院で可決された法案の内容にずれが生じるのは珍しいことではありません。その場合は、両院で、ずれを解消しなければなりません。それについては、「上院と下院で可決された法案の内容が違う?」という投稿で説明しています。上院と下院で可決された法案の内容が違う?
両院で可決された法案の内容が一致したら、大統領の署名後に法律となります。10に署名もせずに、拒絶もしないで放置した場合も法律となります。