上院議員はどうやってカナダへの関税に反対したのか
2025年4月2日、上院議員がカナダへの関税に反対するために、投票を行い、共和党の上院議員も4名カナダへの関税に民主党に加わって反対したというニュースをお聞きになった方もいらっしゃると思います。
では、これは一体どのような手続きと投票を、どのような法律に基づいて行ったのでしょうか。
以前、「議会が緊急事態宣言を解除できるのか」という記事を書きました。その中で、トランプ大統領が、国家緊急事態法(National
Emergencies Act、略して「NEA」)と国際緊急経済権限法(International Emergency Economic
Powers Act、略して「IEEPA」)を根拠として、緊急事態宣言を行い、それに基づいてカナダとメキシコからの輸入に対して関税を課したということをご説明し、大統領が行った緊急事態宣言を解除するにはどうすれば良いかというお話をしました。
宣言を行った大統領ではなく、議会が緊急事態宣言を解除する場合、50
U.S. Code § 1622には、「Joint
resolution」(両院合同決議)が必要と規定されています。つまり、大統領の署名が不要な「Concurrent
resolution」(両院共同決議)や「Simple
resolution」(議院決議)では足りないということです。そこで、大統領が署名をしないで拒否権を行使した場合には、通常の法律と同じように両院とも3分の2以上で可決する必要があります。
今回上院で投票を行ったのは、2025年2月1日の大統領令で行った緊急事態宣言を解除するというシンプルで短いJoint
resolutionです。上院では、このJoint
resolutionが賛成51票、反対48票で可決されましたが、下院で可決される可能性は非常に低いです。また、たとえ、奇跡的に下院で可決されたとしても、大統領が拒否権を行使するでしょうから、それに対抗するには両院とも3分の2以上で可決する必要があります。
ですから、今回のJoint
resolutionによって緊急事態宣言が解除される可能性は、ほぼ100%ないと言えるでしょう。しかし、各議員の賛成反対を記録として残したり、大統領令への反対を表明するため等の理由から、今回のJoint
resolutionの投票が行われたようです。