投稿

1月, 2025の投稿を表示しています

名前を変えて戻ってきたスケジュールF ― Schedule Policy/Career

  トランプ大統領が 2020 年 10 月 21 日に出した大統領令 13957 がバイデン大統領によって取消されましたが、取消された大統領令を復活させる大統領令がトランプ大統領によって再度出されました。 この大統領令は、基本的には、 2020 年に出された大統領令と同じですが、若干修正しています。名前も「スケジュール F 」ではなく、「スケジュール:ポリシー / キャリア」と変更しています。  大統領令 13957 は、 Civil Service Reform Act of 1978 によって身分が保証されている連邦政府の職員の一部に対して、新たなカテゴリーであるスケジュール:ポリシー / キャリアを設立し、そのカテゴリーに当てはまる連邦政府職員は身分保障の例外とする命令です。通常の連邦政府の職員は、解雇されるのにデュープロセスが求められ、団体交渉権によって守られていますが、スケジュール:ポリシー / キャリアに分類されると、このような権利が認められなくなります。 実際にどのポジションがスケジュール:ポリシー / キャリアになるかは、命令に記載されている基準をもとに確定され、 Federal Register で発表される予定です。   大統領令の強調したかった部分は、下記の部分だと思われます。原文をそのまま記載し、下線を引いておきます。 Employees in or applicants for Schedule Policy/Career positions are not required to personally or politically support the current President or the policies of the current administration. They are required to faithfully implement administration policies to the best of their ability, consistent with their constitutional oath and the vesting of executive authority solely in the President.   F...

議会の予算承認は特定のプログラムへの予算承認とは別?

 1 月 28 日に出された「 OMB issued guidance requesting that agencies temporarily pause, to the extent permitted by law, grant, loan or federal financial assistance programs that are implicated by the President’s Executive Orders 」で始まるメモは、アメリカ中に混乱を巻き起こしました。 つまり、このメモは、連邦政府の各省庁に、助成金、貸付金、または連邦財政支援プログラムを、法律で許される範囲で一時的に停止するように求めています。 何について停止されるのか不明確過ぎて、アメリカ中が混乱し、ワシントン DC の連邦裁判所が、その日の午後に次の口頭弁論まで一時的にこの命令を仮停止する Temporary restraining order を出しました。 結局 1 月 29 日になって、ホワイトハウスが前日のメモを撤回して、とりあえず事態は収束しました。 この混乱の最中、民主党議員は、議会が一旦行った Authorization (承認)と Appropriation (歳出)を無視するもので、歳入、支出、借入の権限が議会にあると規定している憲法に違反するものだと強く批判していました。 共和党議員のなかには、自分の選挙区にも影響する助成金が止められたということで困惑気味な議員もいましたが、根拠を述べながら反論している人もいました。その反論うちの一つが、議会の行う予算の承認、歳出は、特定のプログラムや特定の団体にいくら支出することを承認するものではなく、実際にどのプログラムやどの団体に支出するかを決定することは、行政、つまり大統領の役割であるので、現時点で支出しているプログラムや団体が適切であるかどうかを評価するために、一時的に支出を止めるのは大統領の権限の範囲内であるというものです。 確かに、予算の承認歳出は、特定のプログラムや特定の団体に対して行われるわけではなく、行政、具体的には各省庁が、実際にどのようなプログラムによって実施するか、どのような団体に支出するかを決めることになります。 実際に、特定の団体等に支出することを指定す...

たまに行使される副大統領の重要な役割

  副大統領は、その後に大統領にでもならない限り、影の存在であることが一般的です。ただ、副大統領にも、たまに行使される重要な役割があります。 上院には、下院のように上院議長を選挙で選出するわけではありません。副大統領が上院議長( President of the Senate )を務めます。ただ、多数党の中から上院議長代行( President pro tempore )を選び、副大統領欠席の際には議長の役割を果たします。 普段は、どちらかというと儀礼的な役割しか果たさない副大統領にも、たまにしか行使されない重要な役割があります。それが、 100 名いる上院議員の票が 50 対 50 に分かれた時に、大切な最後の一票を投じるということです。 例えば、 Inflation reduction act of 2022 (IRA) は、民主党の上院議員が全員賛成票を投じ、共和党の上院議員が全員反対票を投じた結果、 50 対 50 となりました。そこで最後の一票を投じて法案を可決させたのが副大統領です。 最近では、ピート・ヘグセス( Pete Hegseth )を国防長官( Secretary of Defense )として承認に関する投票で、共和党議員 3 名が反対票を投じたことから、 50 対 50 となり、副大統領である J ・ D ・ヴァンスが最後の重要な一票を投じたことで、承認されています。 通常、副大統領は投票するわけではありません。 50 対 50 になった時のみ投票するに過ぎないのですが、その投票は、結果を左右する重要な一票になります。

南部の州は民主党支持だった?―Southern Strategy

  黒人解放を訴え、南北戦争の勝利を導いたリンカーン大統領は、共和党の大統領であったと聞くと、共和党に DEI (多様性、公平性、包括性、 Diversity, equity and inclusion )やアファーマティブ・アクションの撤廃( Ending Radical And Wasteful Government DEI Programs And Preferencing – The White House )などを支持する人が多いことに関して疑問を感じるかもしれません。 当然のことながら、南北戦争後、戦争で負けた南部の人たちは、リンカーン大統領が所属していなかった党である民主党を圧倒的に支持していたのです。大恐慌を経験した民主党の大統領ルーズベルト大統領がニューディール政策を展開した際、南部の民主党支持者は、政府による経済政策の介入などについては指示をしていました。しかし、黒人に対する公民権を守ることには反対していました。 ルーズベルト大統領が亡くなり、民主党のハリー・トルーマン氏が大統領になると、軍隊の中での人種隔離を終わらせる旨の大統領令を出したり、黒人の公民権についても関心を示す等、南部の白人民主党支持者と異なる路線を歩むようになりました。こうして南部の民主党支持者と民主党との間に亀裂が見られるようになりました。その後、民主党のジョン・ F ・ケネディ大統領の働きかけにより、民主党のリンドン・ジョンソン大統領が署名した 1964 年公民権法が成立すると、その傾向は一層進み、南部の白人票を取り込もうとする共和党の動き( Southern strategy )も功を奏して、南部の州は徐々に共和党支持者に代わっていきました。 ちょっと話を単純にしてしまった感はありますが、このようにして、民主党支持だった南部の州は、完全な共和党支持の州に代わっていったのです。 これを理解すると、現在の 2 大政党の政治構造とスタンス、地域的な勢力図も納得がいくといういうわけです。

総入替えの下院と継続する上院

  アメリカ議会には、上院と下院がありますが、日本の参議院と衆議院とはかなり異なります。 以前、両院では一票の重さが全く違うというお話をしましたが、それ以外にも違う点が多くあります。 違いの一つとして、選挙が行われる頻度があります。 アメリカの場合は、下院の任期は 2 年、上院の任期は 6 年で、大統領が議会を解散することはできません。上院の任期は 6 年なのですが、 2 年ごとに約 3 分の 1 ずつの議員を入れ替える選挙があって、いつも 3 分の 2 の議員はそのままなのです。つまり、総入替えの下院と違って、上院には継続性があります。それだけでなく、異なる時期の民意を反映させる結果にもなります。世論や民意は、その時の景気や外交等の様々な要素によって変わっていきます。民意はその時期ごとに特定の問題にフォーカスする傾向にあると思います。時期がずれることで、民意のフォーカスも分散します。例えば、現在の上院には、 2024 年に選挙で選ばれた議員、 2022 年に選挙で選ばれた議員、 2020 年に選挙で選ばれた議員が 3 分の 1 ずついますが、 2020 年は、コロナウイルスのワクチンの確実性も不透明な状態で、大統領選挙では民主党のバイデン氏が選ばれた年です。 2022 年は、インフレにあえいでいましたが、憲法上妊娠中絶の権利が認められないと、以前の最高裁判決を覆した判決にショックが広がった年でした。 2024 年の選挙は、インフレが焦点になり、大統領選で共和党のトランプ氏が選ばれた年です。このように、 2 年違うだけで、少しずつ人々が重視する問題が違うことで、民意のフォーカスも分散し、民意の急激な変化の影響を受けないという利点もあると思います。

ロビーイング2025

  今回の 2 回目のトランプ政権の誕生によって、最初のトランプ政権でトランプ大統領と近かった人たちには、いくつかの選択肢があると思いますが、政治に関するものとしては二つあるのではないでしょうか。一つは、 2 回目のトランプ政権で重要なポジションで戻るという選択肢、もう一つは、トランプ大統領に近しいことを理由に、企業に対してコンサルビジネス(ロビーイングも含む)を行って稼ぐという方法です。 ビジネスに有利に働くならと、トランプ大統領の就任式に、大企業がお金に糸目をつけない寄付を行ったのに象徴されるように、大企業はトランプ大統領に近い立場にあるコンサルタント(ロビースト)を競って雇おうとしているようです。それを分かってコンサルもトランプ政権に近いことを売りにしてクライアントを獲得営業に勤しんでいるような気がします。 伝統的なロビーイングについては、別の機会に説明いたしますが、 2025 年は今まで一般的だったロビーイングとは少し違うタイプのコンサルティングが盛んになっているように思います。ロビーイング 2025 とでも命名しましょうか。これは、トランプ氏が大統領である間だけのことでしょうか、それともトランプ政権が終わった後も次の大統領に引き継がれるのでしょうか。

上院と下院で可決された法案の内容が違う?

  上院と下院で別々に法案を可決するので、様々な理由から、上院で可決された法案と、下院で可決された法案の内容が異なっているというのは珍しいことではありません。 法案は、上院下院の両院で可決しただけでは法律とはならず、大統領の署名が必要になるということはご存知な方も多いかと思います。 ただ、上院下院の両院で可決した法案の内容が異なる場合は、そのまま大統領に署名を求めるわけにはいかないので、両法案の違いを解消する必要があります。 この両法案の違いを解消する方法については、簡単に説明すると、一つの方法としては、両党であまり争いがないような内容の法案については、片方の院の法案をもう片方の院がそのまま受け入れるというものです。割合としては一番多い方法のようです。二つ目の方法は、両院が補正した法案のやりとりをし合うという方法です。三つめの方法は両院のメンバーによって構成される Conference committee を作って、その枠組みの中で交渉するという方法です。 このようにして、両法案で食い違う点を解消することになるのですが、直前になって法案に補正がされた場合や、政府閉鎖が迫っていて、早急に法案を通す必要がある場合等調整の時間がほとんどない場合もあります。両院での法案の違いが解消されないまま大統領によって一旦署名されてしまった後に問題が解消されたという手違いが、今までになかったわけではありません。

Drain the Swamp(淀んだ水を抜け)が違う意味に使われはじめる?

  「 Drain the swamp 」は、英語の Wikipedia にも載っています。直訳すると「沼の水を抜け」ですが、「淀んだ水を抜け」という方がピンと来るかもしれません。英語の Wikipedia には、 1980 年代以来政治家によって頻繁に使用されてきたフレーズで、米国ではしばしば特殊利益団体やロビーストの影響力を減らすことを指すと記載されています。 2017 年にトランプ氏が大統領になった際に、トランプ大統領は、「 Drain the Swamp 」という表現をしており、ワシントン DC のロビーイングのカルチャーを破壊することを意味していると理解されていました。 しかし、 2 回目のトランプ政権の就任式を「 Swampiest inauguration 」(最も淀んでいる就任式)と表現をする人がいるくらい就任式への大企業からの寄付額と寄付の集め方が話題になった今、トランプ大統領支持者によって、この「 Drain the Swamp 」が違う意味に使われるようになった気がします。 今までは、特にロビーストの影響力を排除するという意味に使われていたのですが、最近は、非効率な伝統的連邦政府のシステムを排除するというような意味で使われるようになった気がします。例えば、 Kari Lake (カシュ・パテル)を FBI の長官に指名するというトランプ氏が発表した際に、「 Kash will help drain the swamp 」と反応したトランプ支持者もいました。

Primary election (予備選挙)は議員の妥協を阻害する?

 Primary election ( 予備選挙 ) とは、本選挙の前に行われる選挙です。予備選挙には、一つの方式に限らないのですが、一般的な方式としては、その政党に登録した選挙権を有する者が、その政党の代表としてその地区から本選挙に出る候補者を選出するというものです。 実は、この予備選挙が本選挙よりも重要な地区も結構多いです。例えば、この地区からは、必ずと言ってよいほど共和党の候補者が選挙で選ばれるという地区があった場合、予備選挙で、共和党の候補者として本選挙に出ることが決定すれば、本選挙の結果を待たなくても選挙に勝ったも同然ということになります。予備選挙がいかに重要かがお分かりになるでしょう。 予備選挙の方法は州によって異なりますが、予備選挙で投票できるのは、一般的にその政党に登録している人ということになります。そこで、登録している人は、共和党と民主党の中間的な政策を支持しているという人はあまりいないことになります。つまり、中間選挙に行って投票する人はどっぷりと共和党または民主党の政策を支持している人である可能性が高いです。 予備選挙の候補者は、例えば、共和党の予備選挙の選挙運動で、〇〇候補者は、議会での審議の際に、〇〇法案について、民主党に妥協して、共和党の政策を支持しなかったと、高らかに批判するわけです。そうすると、コアの共和党支持者による投票が行われる予備選挙で落選する可能性が高くなります。ここでの落選は本選挙にできることがほぼ不可能になるという結果をもたらします。つまり、議会での法案制定過程で、国民のことを考えて他党の法案に妥協をすることは、罰を受けてしまうことになりかねないのです。つまり、他の政党と妥協しないことが将来の政治家としての人生に有利に働きます。 このようにして、他の政党と妥協できるような中間的な議員が静かに退場していく傾向にあるようです。

シンクタンクとは?

  日本で有名なシンクタンクと言えば、 CSIS (Center for Strategic & International Studies) 、 The Heritage Foundation ,  The Brooking Institution などではないかと思います。 CSIS が有名なのは、寄付者である日経新聞にもよく取り上げられるだけでなく、日本政府も寄付をしていますし、経団連や日本の商社等の名だたる企業が寄付者として名前を連ねています。日経新聞にも CSIS という言葉や CSIS の Japan Chair のインタビューがよく登場するように思います。 The Heritage Foundation (ヘリテージ財団)は、保守系のシンクタンクで、プロジェクト 2025 によって日本でも有名になったのではないかと思います。 The Brooking Institution (ブルッキングス研究所)は、バイデン政権で財務長官をしているジャネット・イエレン氏が、最初のトランプ政権の間、特別研究員を務めていたことで、日本でも知られているかもしれません。一部の日本企業も寄付をしています。 シンクタンクは非営利法人であることが通常で、特定の寄付者のためにロビーイングをするわけではないのですが、やはり多くの企業等に寄付をしてもらうためには、政権に自分たちが提言した政策を受け入れてもらうことは、プラスです。特に、政権が取り入れるような提言をするシンクタンクであれば、シンクタンクへの寄付者でないと参加できないようなイベント等で、重要な情報を入手することが出来るかもと思って、寄付しようという企業は増えるでしょう。お金がなければ活動が続けられませんから、やはりシンクタンクでも寄付をどれくらい集められるかが重要になるのです。 そのような観点でプロジェクト 2025 を見てみると、少し違って見えるかもしれません。

1990年代半ばまでは民主党が圧倒的多数?

  下記の表は、 91 会期から現在までの下院議員がどの政党に所属しているかの対比の表で、政府のウエブサイトに掲載されていたものの一部です。 https://history.house.gov/Institution/Party-Divisions/Party-Divisions/ お分かりになると思いますが、 1990 年代半ばまでは、圧倒的に民主党議員が過半数を占めていました。しかし、それが徐々に変化し始め、共和党が下院の多数派を占める会期がチラホラと出てくるようになりました。この流れを作るのに貢献したのが、 1978 年に下院議員に当選した Newt Gingrich (ニュート・ギングリッチ)と言われています。 1989 年に House minority whip ( Whip については他の記事を参照ください)に就任し、 1995 年に下院議長に就任しました。歳出削減等を打ち出し、民主党を敵と看做して攻撃するような手法も確率し、民主党との妥協を許さずに政府封鎖に追い込む等、現在の政党間対立の基礎を作った人です。現在のトランプ手法の源流はギングリッチにあるという人もいます。   会期 ( 年 ) 下院議員数 民主党 共和党 その他 91st (1969–1971) 435 243 192 0 92nd (1971–1973) 435 255 180 0 93rd (1973–1975) 435 243 192 0 94th (1975–1977) 435 291 144 0 95th (1977–1979) 435 292 143 0 ...