With prejudice とWithout prejudice?
アメリカの司法省が検事に対し、ニューヨーク市長であるエリック・アダムスの収賄事件の起訴を取り下げるように指示をしたというニュースが報道されていましたが、法律家として気になったのは、「without prejudice」で取り下げることを指示しているという部分です。
刑事裁判のみならず、民事裁判であっても、訴訟の取り下げが行われる場合、重要なのは、「with
prejudice」で取り下げられるのか、「without
prejudice」で取り下げられるのかという部分です。「with
prejudice」で取り下げられる場合、実体法的な効果を伴って取下げが行われることになり、再度訴訟を提起することが困難になります。これに対して、「without
prejudice」で取り下げられる場合には、実体法的な効果を伴うことなく取下げが行われることになり、再度訴訟を提起することが可能になります。
そこで、今回、司法省がニューヨーク市長の刑事事件の取り下げを求めた理由は、証拠不十分とかではなく、市長の不法移民対策に向けた活動の妨げにならないようにするためとされており、さらに「without
prejudice」なので、司法省の気が向けばいつでも、蒸し返しの起訴が可能となります。
これらの事実を前提に、連邦政府が求める方針に従って不法移民対策を取らなければ、司法省はいつでも収賄事件を蒸し返して起訴しますということを示唆して圧力をかけているのではないかという専門家もいます。
ちょっとした法律用語が分かると、ニュースの奥が見えてきます。