大統領が議会で承認された予算の拠出を拒めるか?
行政府のトップである大統領が立法府である議会が承認した予算の使用を拒むことを「Impoundment」と呼びます。最近、連邦政府のファンディングを凍結するという大統領令がだされ、議会が予算を配分した資金の拠出を拒むことが可能なのかが問題になりました。議会が分配の決議をした予算の拠出を拒んだのは、トランプ大統領が最初というわけではないのです。
歴史をさかのぼると、リチャード・ニクソン大統領が、連邦水質汚染防止法改正案(1972年)の下で連邦政府の財政支援を求める州に対して、議会が配分したすべての資金を支出する義務はないと主張したことがあります。これは、分配金を受領するはずだったニューヨーク等が環境保護庁を訴えたことで、Train
v. City of New York, 420 U.S. 35 (1975) 最高裁判決が下され、行政府は議会で定めた額を拠出する義務があると判断されました。
その後、Congressional
Budget and Impoundment Control Act of 1974(1974年議会予算・執行留保規制法、略してICA)が制定され、大統領が議会で可決された予算承認の執行を留保する場合に関する手続きが規定されました。更に、議会の中に、Congressional
Budget Office(議会予算局)が設立されました。
簡単に説明すると、実際に、大統領が予算の執行を留保すべきと考えた場合、大統領は、留保する額、事情、目的、留保した場合の影響等を両院に送り、それに基づいて、両院が45日以内にRecission
bill(廃止法案)を可決しなければ、予算の執行を留保することができません。
その後、連邦地裁でState
of Maine v. Goldschmidtという判決が出され、ジミー・カーター大統領が連邦政府のハイウェイの補助金を遅らせたことがICAに反すると判断されました。
トランプ大統領による今回の大統領令に対しては、数多くの訴訟提起が予想され、既に提起されているものもあります。Train
v. City of New Yorkが出された頃とは、最高裁判所の判事の構成もかなり違いますし、現在の最高裁判事の構成になった後、以前の最高裁判決が多く覆されています。
これについては、どのような判断がなされるのでしょうか。