共和党はどうやって減税法案を成立させるつもり?
通常の法律を成立させるためには、上院では、以前お話ししたフィリバスター(filibuster)によって、100名の上院議員のうちの60名以上の議員が賛成しなければ、討論を終結(cloture)して投票に移ることが出来ません。現在、トランプ大統領と同じ政党である共和党所属の議員が53名ですので、通常の決議方法では、トランプ大統領が成立を目指している減税法案が上院で可決されません。そこで、奥の手として利用されるのが、「reconciliation bill(財政調整法)」です。reconciliation billでは、上院での討論の時間が制限されているので、討論終結の決議が不要となり、上院議員の過半数によって法案を可決することが可能です。
ただ、reconciliation
billを制定するためには、それに向けての複雑な手続きが必要となります。
まずは、両院で同じ内容のbudget
resolution(予算決議)が可決されなければなりません。この予算決議は、concurrent
resolution(両院共同決議)なので、大統領による署名を必要とせず、法的拘束力を有しません。ただ、両院でreconciliation
billが起案される際に、この予算決議の内容に従う必要があります。この予算決議には、各委員会にその管轄に関連する直接支出(direct
spending)、歳入、または債務上限の法律を変更するための法律案を作成報告するように指示する「reconciliation
instruction(財政調整指示)」を含まれる必要があります。このように直接支出(direct
spending)、歳入、債務上限という限定があるため、これらに無関係なことをreconciliation
billという手法を使って法制化することができません。財政調整指示に基づいて各委員会で作成報告された法律案は包括的(omnibus)なreconciliation
billにまとめられ、上院と下院で決議が行われますが、上院と下院で可決したreconciliation
billの内容に違いがある場合には、通常の法律制定と同様の方法によって、調整解決する必要があります。上院と下院で同じ内容のreconciliation
billが可決された後に、大統領による署名によって、法律となります。
というわけで、reconciliation
billの制定のためには、色々な手続きが必要となるのですが、2月26日現在、最初のbudget
resolution(予算決議)の段階で上院が減税案を含まない内容、つまり下院で調整しているのと異なる内容を可決しているというところで、既につまづいている状態です。
今後の共和党内での調整はどうなるのでしょうか。