アメリカの外国腐敗行為防止法の執行を停止する?
2月10日、トランプ大統領が、Foreign Corrupt Practices Act of 1977 (外国腐敗行為防止法、略して「FCPA」)の執行を停止する旨の大統領令を出したことで、こんな法律があったのかと思われた方もいらっしゃるかと思います。時がたつにつれて、日本でも問題となったロッキード事件がこの法律制定のきっかけの一つになっていることも忘れ去られているかもしれません。
外国腐敗行為防止法に基づいて、丸紅などの日本企業も、何度も罰金の支払いを命じられており、アメリカを含む海外でビジネスを営む日本企業の間では要注意の法律とされてきました。
この法律は、アメリカ国外で、その会社の現地社員が、外国の公務員に対し、賄賂を贈った場合等も含まれる点が特徴です。例えば、公務員への賄賂が横行している国でビジネスを始めようと考えて、賄賂なしではビジネスに入り込むのが非常に困難と考えて現地社員が公務員に金銭を渡すなどの行為も違反の対象になりえますし、そのような国の企業をアメリカ企業が買収した後に、子会社での賄賂供与が引き続き行われていた場合も対象になりえ、買収のリスクとしてデューデリジェンスでの注意点とされてきました。
外国腐敗行為防止法に対しては、域外適用で管轄を問題視する意見もありましたし、アメリカ国外、特に法整備やその執行が進んでいないために賄賂等が横行している国でビジネスを行おうとしている企業の中には、アメリカでビジネスを行う企業の足かせになっていると批判している人もいました。
ですから、ビジネスを重視するトランプ大統領が、このような大統領令を出したこと自体は驚くことではありません。
問題なのは、議会が制定した法律を、大統領がビジネスに合わないからといって、執行停止してしまうことが、どこまで法的に許されるのかという点です。ただ、この執行停止に反対して訴訟を提起できる当事者適格のある者がいるのかも疑問が残ります。