フィリバスターが救った?ICC(国際刑事裁判所)

 国際刑事裁判所は、オランダのハーグに本部を置いており、現在の裁判所所長は日本人である赤根智子裁判官です。Wikipediaによると、「国際刑事裁判所(ICC)は1998717日に、国際連合全権外交使節会議において採択された国際刑事裁判所ローマ規程(ローマ規程または、ICC規程)に基づき200271日、オランダのハーグに設置された国際裁判所で、国際関心事である重大な犯罪について責任ある「個人」を訴追・処罰することで、将来において同様の犯罪が繰り返されることを防止することを目的としている。」とのことです。この重要な役割を果たす国際刑事裁判所が、アメリカの制裁法案の提出によって揺れています。

国際刑事裁判所は、パレスチナ・イスラエル戦争に関してイスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相やその他の幹部に対して逮捕状を出しました。これに憤慨したのが、多くのユダヤ教徒がビジネスや政界で要職についているアメリカです。

その結果、下院に国際刑事裁判所に対して制裁を課す法案が提出、可決されました。

法案の一部には、国際刑事裁判所が「保護される人」の調査や逮捕等を試みた場合に、大統領が、それに加担した外国人に対して取引禁止やビザの取消しや発給停止等様々な制裁を課すことができるという条項が含まれています。

実際にこの法案が発効すれば、国際刑事裁判所存続の危機とも言えたかと思います。ただ、アメリカ議会では下院だけの可決では法律となりません。上院での可決も必要となりますが、上院では、予算に関するものや、最高裁判所判事や行政要職の承認手続き等を除いて、フィリバスター(filibuster)があります。

フィリバスターとは、簡単に説明すると、上院議員の60人が賛成しない限り、法案に関する討論を停止することが出来ず、法案の投票をすることが出来ないというものです。そこで、端的に言ってしまうと、60票の賛成票がないと、法案が可決されないことになります。

下院で可決された国際刑事裁判所に対して制裁を課す法案は、上院でも審議されましたが、賛成54票、反対46票によって、60票に達しませんでした。つまり、フィリバスターによって上院での法案可決の見通しが立たなくなりました。

フィリバスターによって、現時点で国際刑事裁判所は、首の皮一枚のところで救われたということでしょうか。

ただ、何らかの大統領令が出される可能性があるのかどうか、もし出された場合に、その内容は法律上許される内容なのか、その効力はどうなるのか、不透明なところはあります。

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