立法の形式はBillだけではない?

 「議会が緊急事態宣言を解除できるのか?」という説明の中で、「Joint resolution」(両院合同決議)についてお話ししましたので、立法の様々な形式について補足説明をします。

議会で決議される立法には、一般的に知られている「bill」(法案)以外にも「resolution」(決議)があります。日本語に、正確に対応する言葉がないので、英語を残したまま説明します。

この「resolution」には、3つの種類があります。「Joint resolution」(両院合同決議)、「Concurrent resolution」(両院共同決議)と「Simple resolution」(議院決議)です。

bill」(法案)は、議会の下院と上院で別々に同じ内容が可決され、大統領によって署名された場合に法律となります。「bill」(法案)の場合、下院での法案は、「H.R.」で始まり、その後に通し番号が入ります。上院の法案は、「S」で始まり、その後に通し番号が始まります。

Joint resolution」(両院合同決議)も議会の下院と上院で別々に同じ内容が可決され、大統領によって署名された場合に法的拘束力を有しますが、「bill」(法案)とは、目的が異なります。「Joint resolution」(両院合同決議)が使われる典型的な例は、ここでは詳細の説明を割愛しますが、「continuing resolution」です。一般に「CR」と呼ばれ、通常の歳出法案(appropriation bill)が会計年度の最初に成立しない場合に、資金提供を行うために使用されます。それ以外には、前の記事で説明した議会が緊急事態宣言を解除する場合や、合衆国憲法を改正する場合等があります。「Joint resolution」(両院合同決議)の場合、下院に提出されたものは、「H.J.Res」で始まり、その後に通し番号が入ります。上院に提出されたものは「S.J.Res」で始まります。

Concurrent resolution」(両院共同決議)は、下院と上院で可決されるものですが、大統領による署名を必要とせず、法的拘束力を有しませんが、しばしば影響力があります。政策に対する支持や反対を示す時にも使われますが、議会の休会や、議会の共同委員会の設立などでも使用されます。予算手続きを開始する際にも使用されます。Concurrent resolution」(両院共同決議)の場合、下院に提出されたものは、「H.Con.Res」で始まり、その後に番号が入ります。上院に提出されたものは、「S.Con.Res」で始まります。

Simple resolution」(議院決議)は、下院、上院のうちの一議院のみが、その意見表明のためないしは、当該院の内部事項に関して行う決議です。法的拘束力はありません。

下院で提出された場合は「H.Res.」で始まり、上院で提出された場合は「S.Res.」で始まります。

 

日本語訳については、米英法律語辞典(小山貞夫編集)を参考にしました。

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