1962年通商拡大法232条による関税
前回の投稿で、関税を課す権限は議会にあるが、議会が法律を制定して、その範囲内で大統領に関税を課す権限を与えることは可能であるというお話をしました。その法的根拠を6つほど列挙しましたが、ここでは、まず1962年通商拡大法232条についてお話したいと思いしたいと思います。最初のトランプ政権では、この法律に基づいてスティールとアルミに関税が課されました。
この法律に基づいて関税を課す場合、この法律で規定される手続きに沿って行われる必要があります。まずは、利害関係者または省庁からの要請などに基づき、商務長官が特定の物の輸入が国家安全保障に与える影響について調査する必要があります。このような要請がない場合でも商務長官は調査を開始することが可能です。この調査をするにあたって、国防長官やその他適切なOfficerにアドバイスを求める必要があります。適切であれば、Hearingなどを通じて必要な情報を収集することが求められます。
調査を始めてから270日以内に、調査結果報告書を大統領に提出しなければなりません。この報告書には、商務長官としての推奨事項が含まれます。
その物を一定以上アメリカに輸入することは国家安全保障上問題があるという報告書を受け取った場合、大統領は90日以内に商務長官の意見に同意するまたは、同意しないかを決定する必要があります。大統領が国家安全保障のためにアクションが必要であると判断した場合には、15日以内にアクションを起こす必要があります。大統領が商務長官の報告書に基づく決断をしてから30日以内に議会に書面で報告しなければなりません。大統領は、必ずしも商務長官の報告書にある推奨事項に従ったアクションを起こさなければならないわけでありません。法律に決められた手続きに従って、他の手段によるアクションを起こすことも可能です。
1962年通商拡大法232条には、特に関税率や関税を課す期間に関する制限はありません。
ただ、1962年通商拡大法232条に基づいて関税を課すためには、特定の物の輸入に関して国家安全保障の問題があることが条件になっており、また法律に規定される手続きに従って関税の有無を決定する必要があります。つまり、特定の国からの輸入品について、調査なしにすべて一律に関税をかけるというようなことは、この法律上認められていません。