1974年通商法301条による関税

 先日から関税シリーズとして、関税を課す権限は議会にあるけれども、議会が法律を制定してその範囲内で大統領に関税を課す権限を与えている場合について説明しています。

今回は、1974年通商法301条について簡単に説明します。1974年通商法201条は、International Trade Commission (国際貿易委員会(ITC))が深く関わる条項でしたが、301条は、Office of the United States Trade Representative (アメリカ合衆国通商代表部(USTR))が主体となって調査判断等を行う条項です。

USTRは、利害関係者の申し立てにより、外国の貿易に関する条約違反や、不公正な商取引などの法律で定める事項に関して調査を開始することができます。ただUSTRの調査に必ずしも利害関係人の申し立てが必要というわけではありません。

USTRは調査によって、米国の貿易協定に基づく権利等が拒否されたかどうか、外国の行為、政策、または慣行が、貿易協定の規定に違反しているか、米国に対する利益が拒絶されているか、米国の取引慣行に対する不合理な負担や制限を課しているかどうかなどを判断します。このような場合に含まれる例として、外国が直接的または間接的に、外国とアメリカ合衆国間の貨物の商業輸送に使用される船舶の建造に対して補助金を提供すること、公平かつ平等な事業設立の機会や、知的財産権の適切かつ効果的な保護の提供を否定する場合や、市場へのアクセスの機会を不当に制限する場合や、恒常的に通常の労働条件を満たしていない場合などがあげられます。

調査の結果によって、USTRは、大統領の指示がある場合はそれに従って、輸入に関する義務や制限を課すことや、貿易協定から撤退停止すること等が可能です。それには、関税を課すことも含まれます。1974年通商法301条には、課すことが可能な関税の最大関税率の定めはありません。

本条によって過去に課した輸入に関する義務や制限を、大統領の指示があればその指示のもとに、補正することや停止することが認められます。

この条項に基づいて補正が行われた例として、バイデン大統領によって中国から輸入される電気自動車に100%の関税が課されたことがあげられます。

このように、1974年通商法301条によって関税が課される場合も、USTRによる調査と調査による判断が要求されます。

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